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第57話 報告

مؤلف: 菊池まりな
last update تاريخ النشر: 2026-09-20 19:00:20

東京から地元に戻る新幹線の中、有紗はスマートフォンで沙織にメッセージを送った。

〈採決、通った。対案でいくことになった〉

返信は、驚くほど早く届いた。

〈は!? 本当に!? みんなに伝えていい!?〉

〈うん、お願い〉

窓の外を流れる景色を眺めながら、有紗は隣に座る篤の横顔をちらりと見た。篤は資料を整理しながらも、時折こちらに視線を向けては、照れたように目を逸らしていた。

「明日、商店街のみんなに報告会をしようと思う」

「俺も行っていいか」

「当たり前でしょ。責任者なんだから」

駅に着くと、改札の外に沙織が待っていた。有紗の姿を見つけるなり、駆け寄って抱きついてくる。

「やった……! 本当に、やったね!」

「沙織のおかげだよ。ずっと支えてくれて」<
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  • 十年後の初恋   第58話 歩み寄り

    かすみが地元の駅に降り立ったのは、報告会から一週間後のことだった。 有紗は店の前でかすみを待っていた。会うのは、あの夏、かすみが現地を訪れて以来だった。あのときのかすみは、静かな覚悟を纏いながらも、どこか痛みを堪えているように見えた。今、目の前に立つかすみは、あのときとは違う、澄んだ表情をしていた。 「お忙しいところ、ありがとうございます」 かすみが丁寧に頭を下げた。 「いえ、こちらこそ。中で、お茶でも」 店の奥の小さな休憩スペースに、二人は向かい合って座った。有紗が淹れたお茶からは、湯気がゆっくりと立ち上っていた。 「対案、採用されて本当によかったです」 「かすみさんの企画も、力になったって篤くんから聞きました。住民の声を可視化する企画……」 「いえ、あれは私が自分のためにやったことです」 かすみは静かに首を振った。 「広報担当として、会社のやり方に、ずっと違和感を持っていました。篤くんのことがあってもなくても、いつかは声を上げていたと思います。ただ……」 かすみは、お茶を一口飲んでから続けた。 「篤くんのおかげで、その違和感に、ちゃんと向き合う勇気をもらえたのは事実です」 有紗は黙って、かすみの言葉に耳を傾けた。 「今日、伺ったのは、きちんとご挨拶をしたかったからです」 かすみは背筋を伸ばし、有紗をまっすぐに見た。 「篤くんのこと、大事にしてあげてください」 その言葉に、有紗は胸が締め付けられるのを感じた。 「かすみさん……」 「正直に言うと、悔しくなかったと言えば嘘になります。でも、篤くんが本当に大切にしたいものが何なのか、現地に来て、皆さんの様子を見て、よく分かりました」

  • 十年後の初恋   第57話 報告

    東京から地元に戻る新幹線の中、有紗はスマートフォンで沙織にメッセージを送った。 〈採決、通った。対案でいくことになった〉 返信は、驚くほど早く届いた。 〈は!? 本当に!? みんなに伝えていい!?〉 〈うん、お願い〉 窓の外を流れる景色を眺めながら、有紗は隣に座る篤の横顔をちらりと見た。篤は資料を整理しながらも、時折こちらに視線を向けては、照れたように目を逸らしていた。 「明日、商店街のみんなに報告会をしようと思う」 「俺も行っていいか」 「当たり前でしょ。責任者なんだから」 駅に着くと、改札の外に沙織が待っていた。有紗の姿を見つけるなり、駆け寄って抱きついてくる。 「やった……! 本当に、やったね!」 「沙織のおかげだよ。ずっと支えてくれて」 「何言ってんの。これは有紗が、自分の足で掴んだことだよ」 沙織は篤にも気づき、少し意地悪な笑みを浮かべた。 「桐生くんも、お疲れ様。……で? 二人の関係は、結局どうなったわけ?」 有紗と篤は、顔を見合わせて赤くなった。沙織はそれだけで察したらしく、満足そうに頷いた。 「まあ、聞かなくても分かるけどね」 翌日、対案本部には商店街の人々が集まっていた。乾物屋の主人、雑貨屋の女将、健太、朋子、そして由美子も杖をついて顔を出していた。 「報告があります」 有紗が前に立つと、部屋の空気が張り詰めた。 「昨日、東京の役員会で、私たちの対案が正式に採用されることが決まりました」 一瞬の静寂のあと、部屋中から歓声が上がった。健太が模型を抱きしめ、朋子は目に涙を浮かべ、乾物屋の主人は隣の雑貨屋の女将

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  • 十年後の初恋   第54話 東京へ

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